2021年8月4日に総務省が発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によると、2021年1月1日時点での日本の外国人人口は281万人だそうです。
昨年は新型コロナウイルスの影響もあってか外国人住民の人口が減少に転じたそうですが、日常生活の中で外国人の方を見かける頻度は年々増えている実感があります。
店員さんが外国人の方ばかりのコンビニや飲食店も非常に多いですよね。
私が学生の頃のアルバイト先にも外国人の方が何人もいました。
話を聞いてみると、それぞれ日本に来た理由は違いましたが、皆が共通して日本での生活が好きだと笑顔で話してくれたのをよく覚えています。
そのように日本のことを気に入って暮らしている外国人の方々の中には、遺言を作りたいと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、外国人の方が遺言を作成せずに相続が発生すると、日本人の相続と比べて手続きにかなりの労力を要する可能性が非常に高いです。
今回は、日本で暮らす外国人の方が日本で遺言を作成する場合の注意点とメリットについてお話をしていきたいと思います。
1.外国人による遺言作成の注意点
外国人の方も日本で遺言を作成することは可能ですが、注意点として
①「どの国の法律に従った方式で作成をするか」
②「遺言の成立・効力についてはどの国の法律で判断されるか」
の2つがあります。
①については、自分が国籍を有する国の方式や日本の方式で遺言を作成することが可能とされています。
日本に所有している財産の相続については、日本の方式で作成をしたほうが手続きがスムーズなため、日本の方式での作成がおすすめです。
自筆で作成することももちろん可能ですが、検認の手続きの際に法定相続人へ通知を行う都合上、相続人の確定作業が発生してしまいます。
外国人の方の場合、この相続人の確定作業に非常に手間がかかる場合が多いので、検認が不要かつ内容の不備による無効の可能性の低い公正証書遺言で作成することをおすすめします。
②については、遺言を作成した人の本国法(国籍を有する国の法律)に従うものとされています。
せっかく作成した遺言が無効とされないように、作成する前にしっかりとご自身の本国法の規定を調べることが必要になります。
2.外国人が遺言を作成するメリット
次に外国人の方が遺言を作成するメリットについては、次の3つがあります。
メリット①「法定相続人全員の証明を省略できる。」
注意点①でも触れましたが、法定相続人の確定作業は戸籍のある日本でも手間がかかりますので、戸籍制度のない国の方の相続となるとなおさらです。様々な証明書類を取得することになり、相当な時間と手間を要します。
しかし、遺言(公正証書遺言)があれば、遺言内で指定された人たちの証明書類だけで手続きを進めることが可能になりますので、書類取得の手間をかなり軽減することができるでしょう。
メリット②「遺産分割が不要(相続の準拠法が日本法の場合)」
相続人が海外に住んでいて、遺産分割協議がなかなか進まず、相続手続きが長期間停滞するケースは非常に多く見かけます。
しかし、遺言があれば遺産分割協議を行わなくても済むので、手続きがスムーズに行えます。
メリット③「公的機関、金融機関の理解不足による余計な手間が軽減される。」
遺言がない場合、公的機関、金融機関で手続きを行う際、担当者の国際相続についての知識や経験が足りず、手続きに余計な手間や時間がかかる可能性が非常に高いです。
しかし、遺言があれば、遺言の内容に従えばよいので、担当者が迷う余地を減らすことができます。
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このように、外国人の方が遺言を作成するには注意が必要な点こそありますが、作成するメリットは非常に大きいです。
日本で暮らして築いた大切な財産。
遺された人が手続きに困らずに受け取れるように、遺言を作成しておくことを強くおすすめします。
当事務所の専門家たちも全力でサポートをいたしますので、少しでも興味がありましたらお気軽にご相談ください。