遺言に条件をつけられる?

こんにちは 司法書士の竹下です。

遺言作成のご相談を受ける際に、遺言の内容に条件や期限をつけることが可能なのか?というご質問をいただくことがあります。

答えは「イエス」です。

では、どのような条件や期限のついた遺言が、どのような場面で活用できるのでしょうか。
今回は活用例をご紹介したいと思います。

【甥っ子姪っ子に不動産を遺贈したい】

Aさんは複数の不動産を所有しています。しかし、Aさんには子どもがいません。
そこで、将来的に不動産は、亡き弟の長男、つまりAさんから見たら甥のBさんに遺贈したいと考えています。
ただ、弟にはBさんのほか長女のCさんもいます。もしもCさんが結婚して実家を出ていたら、Cさんが自分の家を建てるときの敷地として使ってもらえるよう、不動産の一部をCさんにもあげたいと考えています。

このような場合には、Cさんの婚姻を条件として遺贈をする内容の遺言を作成できます。
ただし、期限を決めないといつまでも権利関係が確定しませんので、時期的な制限も設定しておくとよいでしょう。

遺言書の文案は次のようになります。
「遺言者は、遺言者の弟の長女Cが20✖✖年までに婚姻した場合は下記の不動産をCに遺贈する。この条件が満たされなかった場合には下記の不動産は遺言者の弟の長男Bに遺贈する。」


【孫に学費を援助したい】

Xさんには3人の孫がいます。
そのうち2人はすでに大学を卒業しています。Xさんは2人の在学中、学費を援助していました。
ですので、一番年下の孫であるYさんが大学に進学したら、同じように学費を援助したいと考えています。しかし、Xさんの年齢的にYさんの大学卒業を見届けることができるかわからない状況です。

このような場合には、大学への入学を条件として、卒業までの間だけ定期的に遺贈をすることが可能です。

遺言書の案文は次のようになります。
「遺言者は、遺言者の孫であるYが相続開始時に大学に在学中であるか相続開始後20歳までに大学に入学した場合、Yに対し大学を卒業するまで毎月10万円を遺贈する。なお、Yが大学を中退した場合には遺贈は停止するものとする。」

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遺言は作成から効力の発生までに間が空きますので、財産を残したい相手の相続開始時の状況を完全に予測することは困難です。
しかし、遺言に条件や期限を設定することで、相続の開始時の状況に応じて柔軟に財産承継が可能となるのです。

ただし、どんな条件でもつければよいというわけではありません。
次回は、無効になってしまう例をご紹介します。

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